エンドミルの再研                             '09.10.14  masamoto

エンドミルの再研磨は、底刃だけの再研でも専用の機械が必要で技量も必要、素人ではできないものと諦めていた。
5Cコレットを使用し、25mmまでのエンドミルを傾斜させて銜えて、割出して研磨する治具も持ってはいるが研磨機の準備が整わずできていなかった。
今回、約1年前に入手した鉛筆削り方式の差し込めば再研できる研磨機で、再研してみた。

使用した研磨機
4〜13mm、2枚刃、3枚刃、4枚刃のエンドミル底刃の
再研ができる。
すくい角や逃げ角度は調整できない
刃の厚さは1番穴のガイドを回転させ調整することで調整可
再研量は、シムで調整可
コレットは、ER
ホルダーは2枚刃4枚刃兼用と、3枚刃用の2種類
ホルダーのキャップにERコレットの溝を爪に引っ掛けるように
挿入する。
通常のERコレットとは逆に使用する。
なお、ERコレットは、細い側の内径が仕上げられており、
コレットチャックに使用するコレットとは別物だ
キャップにナットを仮締め

エンドミルを差し込む
刃先の位置決め
エンドミル径に合わせて調整し、ホルダーのキャップを
締め込んでエンドミルの位置を固定する。
実は、ここでの位置決めが重要で、再研前の刃列びを
見て刃の向きをよく考えておかなければならない。
(3枚刃、4枚刃の場合には底刃中央が残らない場合がある)
すくい面(刃溝)の成形
機械の1番穴に挿入するだけできちんと削れる
180°方向を変えて2回削る

なお、4枚刃の場合は、2ヶ所に深い溝、残り2ヶ所に
浅い溝が削り出される、3枚刃の場合は1ヶ所に深い溝、
残り2ヶ所に浅い溝が削り出されるようになっている。
すくい面(刃溝)完成
ゆっくり削り込まないと薄い部分に研削焼けが起き、
焼きが戻ってしまう。(画像は悪い例)
逃げ面の2番取り
2番穴の受け台は70〜80°回転できるようになっており、
2枚刃の場合は4T〜2T目盛りの間を回しながら削る
(なお、3枚刃の場合は4T〜3T目盛り間
 4枚刃の場合は4Tに固定)

2番穴に挿入、180°方向を変えて2回削る
逃げ面完成
丁度ドリル刃先の逃げ状に完成

市販エンドミルのようにハッキリした逃げ面の3番を
大きく取る場合は、卓上グラインダーで削ればよい
逃げ面の成形(刃付け)
3番穴に押し込んで刃付けする
ただし、底刃中央が削れるよう、刃を一枚だけ長くするのに
一寸したこつが必要
3番穴は左右が+約0.7mmの僅かな楕円になっており、
右に寄せて押し込めば、
刃面は短く、左に寄せて押し込めば刃面は長くなる。

穴の内部にダイヤモンドホイールが見える
3枚刃や4枚刃もご覧の通り
慣れれば2〜3分で再研できる



ドリルの再研

エンドミルの再研ついでにドリルの再研にも挑戦
小径ならドリルドクターでも可能だが、太いドリルは手研ぎしか方法がなかった。
この研磨機はERコレット使っているので、プラスチックや楔板状のコレットを使ったものよりも明らかに高精度
大径ドリル研磨機
13〜30mmのドリルが鉛筆削り感覚で再研できる。
ER40コレットを使用
通常ER40は26mm迄だが、この研磨機用に26〜30mm迄の
オーバーサイズのコレットが存在する。

ローソク錐は研げないが、先端角とチゼル幅は調整可能
テストに使用した28.6mmドリル
中古で手に入れたもので、このまま使えないことはないが、
どうも研ぎ目が気に入らない。
再研することに....
こちらも、ドリル径に合わせて調整し、位置決めした後、
ホルダーを棒レンチで締め付け

ドリル、コレット、ホルダーの組立方法は、
上記のエンドミル研磨機と同様に行う。
穴に突っ込んで、左右に回す。
180°差し替えて再び回すと刃先は完成
穴に突っ込んで、左右に回す。
180°差し替えて再び回すとシンニング完成
再研の済んだドリル
慣れれば1〜2分で殆ど何も考えずに完成