焼き入れ                                                   '07.01.24  masamoto

モノタロウで買ったタンガロイ製のスクレーパー(キサゲホルダー)

上:幅15mm、下:幅25mm
15mmは以前に買ったもので、その時は超硬チップもあったのだが、最近25mmを買った時には、廃番で入荷の予定が無いとのこと。

チップの注文を忘れ、すぐに買おうと思ったらこの始末
チップの供給が出来ないなら一言あっても良いと思いますが....
タンガロイのスクレパーは、ホルダー先端に超硬チップを挟む構造

上の幅15mmには超硬チップを挟んでますが、
25mmはチップが無くては使えないので、作る事に....
オークションで手に入れた材種の確かな工具鋼
ヤスキハガネブランドのSLD(SKD11)
(2種類各2本買ったので送料含めても\440/kgだった)

SLDはプレス金型等によく使われる材料です。


熱処理の条件はここ
加熱色と温度の関係はこちらの方が鮮明
削り出した鋼チップ
普段はS45C位までしか削ってませんから、結構難削でした。
汚いカッターマークは御容赦下さい、手間を惜しみました。

鋸盤で3枚にスライスし、フライスで面削りと穴明け
面盤に取り付けて端面を加工、先端はR=約200mm(超硬チップは400mm位なのだが、そこまでの加工はできないので...)
先端角度は95°

焼き入れ準備
油冷用の油壺

海苔の缶にエンジンオイルを入れただけのもの。

油が気化して燃え出すので、油量と深さが必要
針金に吊して、対向に配置したガスバーナで加熱

焼け加減は上記の熱処理条件を参考に....
加熱が終わったらすぐにガスを止める。
焼き入れ時にオイルが気化し、大量の白煙が発生するので、火種になって火事にならないとも限りませんので)

なお、薄暗いところでストロボ無しで撮りましたので白熱してるように見えますが、実際は1000℃近辺の色合いです。
焼き入れ

概ね1000℃
ストロボに負けて少し温度が低めに写ってるのか、それとも、もたもた写真取ってるうちに少し冷めたかも...
空冷でも焼きが入るのがSKD11だから慌てることは無いと勝手に解釈
ズボッと一気に底まで漬け、上下に動かす。
白煙が上がり一瞬火が入るがすぐに消え、
後はプクプク白煙が...
冷め切らない内に引き上げる。
電気炉で焼き戻し

今回は、耐摩耗性重視で靱性は無視なので150℃位の低温で....
電気炉の温度制御部

温度コントローラーでソリッドステートリレーを制御
完成したチップ

上:15mm用
下:25mm用
硬度テスト用のヤスリで硬さをチェック
ヤスリは壺三製

HRC60用のヤスリでは傷が入らず、
HRC65用ヤスリでも微妙なところだからほぼHRC65
切れ味は刃先を研削してから....