Vapochill eva の性能評価    
−−−−−−−   アップグレードキットを評価する   −−−−−−−−


出力300Wのcomp及び出力40Wcompで評価してみた。



キットの内容(その1)

左上から、
シリコーングリース、ペンシルドライヤ(振ればシャカシャカ音がするから、乾燥剤が入ってる)、断熱材、ケース、取付金具、キャピラリチューブ、エバポレータ(ベローズ配管付き)、断熱材及びスプリング、残りは用途不明の断熱材等
キットの内容(その2)

チルコンとPTセンサ、その他にケースの前面パネル(いわゆるお面)と取説

チルコンは専用設計品と言うよりも、制御用の温度コントローラの前面パネルを取り去って、転用したものと思われる。
PTセンサは、-100℃迄可能なタイプと思われるが、
詳細はわからない。

エバポレータ(ベローズ配管付き)

ベローズとは、いわゆるジャバラ、内圧状態の変化により、いくらか伸縮するが、compからの振動はほぼ完全に絶つことができる。

長さは、約44cm、ベローズの長さは約33cm
eva

外径22mm×長さ31mm
ベローズとeva銅管部は銀ロウ付け
eva外周は酸化の跡が残っている。
銅管はたぶん1/4"だろう。
eva上面の封止部

酸化の状態から、燐-銅ロウを使用していると思われる。
ちょっと加熱し過ぎの気がするが.....
端の部分は、5/16"銅管
口の部分は、キャピラリと1/4"銅管が同時に入るように涙形断面に成形されている。

入り口部は酸化しており、燐-銅ロウで繋ぐなら問題無いが、銀ロウを使用するなら、酸化被膜を除去した方が良いだろう。
フィルムヒーター

内部の切り欠きは□25mm、FC-PGA2のP3やP4には使用不可

別売りで、P4用があるようだ
配管部に断熱材を被せた

(元々この状態だったが、調査のため一旦抜いた、元に戻したというのが正しい)

左から、エアロフレックスのような断熱チューブ、結構強力なステンレスバネ、断熱ワッシャ、evaの順

断熱チューブの厚さは、僅かに6mm、材質的にはエアコン配管用の保温材の方が優れているような気がする。

ケース

金属製かと思ってたら、プラスチック成型品
一つの金型で済む様に設計されている。
組み合わせた状況

手前角に黒く見えるのは、PTセンサケーブル取り出し用の穴
内側から焼き鏝で穴明けした様だ....
組み合わせてみた

バネはケース内に入れ、スポンジ状の断熱材を挿入、約1cmスポンジがはみ出す。
ケースの反対側を被せた

evaはケースから5mm以上はみ出しており、あのバネを圧縮して取り付けるのは結構大変そう。
eva端面の仕上がりは、うっすらと旋盤加工跡はのこるものの、機能に影響ない程の仕上がり。
テストのために部分組み付け

ペンシルドライヤ及びキャピラリは、他のパーツを使用

キャピラリは、外径1.5mm×内径0.5mm、配管はフレアで繋げるように加工

当初、長さ3m、最終的には1.7m
キャピラリ挿入部

3つ又部分は銀ロウ付け、キャピラリが交換出来るように、内径2mmの短い銅管を取り付けた。
内径2mm銅管にキャピラリを挿入し、ハンダ付け、Vapoに使用するときには、純正キャピラリを挿入し、銀ロウ付けする。

銀ロウは、今回初めて使用したBAg-7、銀50%だけあって、ホームセンター辺りの銀ロウよりも随分使い易い。
ペンシルドライヤ部も同様にハンダ付け
eva評価の模様

断熱材で包み、試験する。
試験後取り外した状態

Athlon擬製コアには熱源用のペルチェ素子
青い線はK形熱電対、擬製コア中心部と、eva端にセット
ペルチェが吸熱すると、熱量計算が難しくなるので、15mm厚さの断熱材を擬製コアの吸熱側に取付したが、それでも10W程度は吸熱しているだろう....

熱源用のペルチェは、最大吸熱57W?程度のもの、
17V越えて印加しても、発生する熱量は90W+程度。

先日、熱源用に新たに最大吸熱80W品をGETしたので、今後は、1段で130W+、2段で200Wの熱負荷まで試験可能となる。
温度測定位置

PTセンサは、茶色のラバーの粘着パッチ状
eva端面ぎりぎりの位置に貼付

熱電対はeva下端外周にセット



出力300Wのcompで評価してみた。
キャピラリでの絞りが、やや甘いため、鋭くは冷えないが、大熱負荷や冬季に凝縮圧が下がることを考えると、丁度良いとも考えられる。





グラフの説明)


↓は初回の計測で、高負荷側から低負荷に徐々に負荷を落としながら測ったデータ。
↑は2回目の計測で、低負荷側から高負荷に徐々に負荷を上げながら測ったデータ。
つまり、負荷約100Wから試験を開始し、負荷を徐々に落としながら計測、最終的には負荷0迄落とし、今度はそこから徐々に負荷を増加させながら計測、最後に約100Wの熱負荷で試験を終了。

チルコンの表示温度が甘い?
考えられることは、チルコンのセンサ部は、ラバーで成形されており、その形状や構造から、eva上部の温度の低い部分影響を受けやすい。
PTセンサであれば、精度は熱電対よりも上のはずだから、チルコン自体には問題は無いと思われる。
(チルコンのセンサがeva中央或いはもっと上に貼ってあったとすると、更に低い温度を示すはずだ。)


40-50Wの負荷の間でグラフの交又が起こることについて...
上記の様に試験の順序の差に起因した結果と思われます。
無負荷から高負荷に移行する際は、eva中に液冷媒が溜まっているために、破線は良く冷えてるように出ます。
負荷水準間の時間を20分とか30分などと十分にとれば、交差は起きなかった考えられる。
また、高負荷時の実践と破線と温度差は、compの状態の差で、試験開始時にcompが十分暖まっていなかったためと考えられる。

蒸発圧力を計測していないので何とも言えないが、
無負荷時の温度が蒸発温度と推定でき、負荷に対して過大なcompであることから、今回の試験の範囲では蒸発温度は-38℃程度と推定される。
また、熱負荷100Wでのeva下端温度は-7〜-2℃と推定される。
従って、Vapochill scket evaの蒸発温度に対する熱抵抗は、0.3〜0.35℃/Wと推定できる。

私が自作した直冷evaの熱抵抗が0.14〜0.175℃/Wであり、Vapoのevaが随分と性能が低く感じられるが、Vapoのeva体積は僅かに私のevaの約1/6であり、大きさの割には非常に高性能と判断できる。








Vapoのcomp相当の出力40Wcompによる評価


40Wのcompはコンパクトユニットに使用したもの。
comp寸法としては、VapoのBF-35に比較して、幅及び長さがほぼ同一、高さは5mm高い

また、今回コンデンサは、冷風機のevaを使用した。



グラフの説明

1)■は40Wcompでのデータ
試験は、高負荷側から始めて低負荷に、低負荷から高負荷に、再び高負荷から低負荷、低負荷から高負荷と、繰り返し試験しました。
10〜20W付近を境に、
またはの関係が逆転していますが、これが正にVapoのevaの特徴で、中心部底面への液冷媒直噴の効果です。
ただし、残念ながら、この効果は負荷が少ないときは有効ですが、負荷が大きくなると効果として確認することはできません。

また、100W以上の熱負荷に対応させるため、キャピラリの絞りが甘く、R22としてはやや高めの温度となっています。
100W付近に最適化すれば、もう少し温度を下げることが出来るでしょう。
高熱負荷時の
の差は、前回の300Wcomp程ではありませんが、Chillconの示す温度がやや甘い傾向に変わりはありません。
Chillconのセンサ貼付位置に変化はありませんから、前回との差は冷却温度の違いでしょう。
キャピラリは同じ、凝縮温度も同じ、両者共にサイトグラスではキャピラリ入り口は液封されており、このことから、冷媒の循環量はほぼ同じと考えられる。
従って、eva内部に於ける冷媒蒸気の湿り度分布の違いに起因すると考えられます。


2)●は300Wcompでのデータで、前のグラフの説明参照

3)◆は300Wcompに、角パイプeva(熱抵抗約0.15℃/W)を使用した時のデータ、参考に入れて見ました。
無負荷時のeva温度比較すると、角パイプevaの方が良く冷えるように見えますが、これはキャピラリの違いで、角パイプevaの方のキャピラリが若干長いので、5℃程度良く冷えてます。
ただし、この差を差し引いても、角パイプevaは、蒸発面積がVapoのevaの数倍あり、性能が良いのは当然。

Vapoのチューンは、evaの高性能化か.....




   結論: 

   サイズの割には高性能Pentium !!!には最適、Athlonでは苦しい。

   パワーアップしたいなら、evaの高性能化は避けられない。




終わりに、
以上の評価に使用したアップグレードキットによるアップグレードを有償限定1台受け付けます。
なお、今回の評価ではR22を使用しましたので、OILの混入を避けるため、evaは完全に洗浄。
窒素ガス封入後ロウ付けし、配管内部の酸化を防止します。
オリジナルのキャピラリ及びペンシルドライヤは温存しており、Socket版Vapoと同様の性能を保証致します。
配管長は余裕を持って長めに設定でき、サイトグラスで冷媒の流れ状態の確認もできるといった改造も受付ます。



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