キャピラリ切替弁の制作


  凝縮温度の変化は、凝縮圧の変化により冷媒循環量に変化をもたらす。
一本のキャピラリで通年使用すると、季節が変わる事により凝縮温度が変化し、冷媒循環量が変化することにより、冷えが悪くなったり、compの液圧縮によりcomp寿命を縮めたりすることもある。

このため、キャピラリを切り替える必要があることは設計編で御理解頂けたことと思う。
コンパクトかつ廃部品利用の切替弁の作り方を紹介する。



電磁弁+フレア継手

不二工機のフレアタイプの電磁弁は、フレアナット部にストレーナを内蔵しており、キャピラリの詰まり防止に有効
フレア継手は初心者でも殆ど漏れの心配は無いが、銅管-キャピラリのジョイントは
出来ればロウ付けしたい。



電磁弁+ロウ付け

銅管の成型やロウ付けが必要
特にコンデンサ側の分岐部は漏れを起こしやすい。



4方弁のパイロット弁の例

上の2例に比較しコンパクトで、A、Bそれぞれ独立しているので分かりが良いが、先ず4方弁を手に入れなくてはならない。
eva側のジョイント部はハンダ付けでも良いが、コンデンサ側のジョイントはロウ付けしたい。

1.材料
          廃エアコン(冷暖)からもぎ取った4方弁。
今回は材料の入手に困り、apkさんの掲示板に書き込んだ所、運良く、asutaさんから提供頂けることになり、それを使用した。

なお、頂いたものは、サギノミヤのものが2個、日本ランコのものが2個であった。
日本ランコというメーカは、知らなかったので、早速調べてみたところ、
なんと、4方弁に関しては国内トップメーカで、国内生産されるエアコンの8割は日本ランコ製を使っているらしい。






2.4方弁の構造
  当初は、4方弁全体をそのまま使って切り替えられないかと考えていた。
無理矢理回路を組もうとすると複雑かつ巨大化は避けられない。
ところが、構造を調べて行くうちに、パイロットの部分だけを活かせば良いことに気が付いた。
しかも、パイロットの部分と弁本体は外径約2.5mm〜3.0mmの細い銅管でつながっているから、キャピラリを取り付けるのにも都合が良い。
折角だから、4方弁の構造と作動について図に示す。
なお、図は参考書に出ていたもの、実際に手に入る物が図と異なっていることもあることを御了解頂きたい。
実際、今回分解した4個の内、図の通りだったのは日本ランコの1個だけ。
4方弁は冷暖切り替えに使用され、
右図は冷房時の状態をしめす。

ソレノイドに通電していないときは、パイロット弁中のバネの力により、パイロットの左側ポートが開いており、弁本体のピストンは負圧により左に側に固定されている。






暖房への切り替え
ソレノイドに通電されると、パイロット内のプランジャが右に動き、左のポートを閉じると同時に右のポートが開かれる。弁本体のピストンは右側に移動し、エバポレーターとコンデンサの役割が逆転する。



3.分解

サギノミヤ編


サギノミヤ
CHV-0104 2044

SANYOの冷暖ウィンドエアコンに付いていたやつと全く同じもの。
こいつは実績有りだ

4方弁本体側の細い銅管を切断
(できるだけパイロット側に長く残るように)

ブラケットや電磁コイル等全て取り外す。


細い銅管の端をパイプカッターで切断
(少し跡が付いたら曲げたり戻したりして折る)
曲がり癖のあるものは、パイプを使って矯正


必殺の千枚通し
銅管端部の潰れやバリを矯正


分解終了







サギノミヤ
AHW-104 6205


こいつは初めてのタイプ、細い銅管が4本出ている。
1本多いのは、Source側につながっているやつ


使えないかも知れないが、とりあえず分解


ごちゃごちゃしているので先ずコイルを取り外す。


細い銅管を切断


カシメられたブラケットを拡げる


取り外した状態






日本ランコ編

日本ランコ
261V0B X047

こいつは汚いし、相当古い物、教科書通りのレイアウトだ。


電磁コイルを取り外す


他のヤツに比べてコイルが縦長


4方弁本体からパイロット弁を取り外す


パイロット部が角柱状になっている


細い銅管を切断(3カ所)


分解完了







日本ランコ
VS6100B 4190

4方弁本体とパイロット部がステンレス製で軽い
細い銅管が4本出ているタイプだ。


電磁コイルの取り外し


細い銅管を切断


パイロット部を取り外す


分解終了





右  :使用した工具類
中央:パイロット弁
左  :弁本体(廃棄)




切り替え状態と銅管径を調べてみた。


メーカ 型番 ソレノイド ポート 管径(mm)    記 事
OFF ON OFF ON 内径 外径
サギノミヤ CHV-0104 1.6 2.95 ペルチェ併用機に最適
AHW-104 1.2 2.4 要試験
日本ランコ 261V0B 1.5 2.5 たぶん問題なく使える
VS6100B 1.5 2.5 要試験




4.切替弁制作

使用するキャピラリ外径に合わせて内径を加工。
可能な限り千枚通し等で拡げ、それでも入らない時はドリルで削る。
削りカスが内部にはいると厄介なので、削ったら反対側から洗浄剤を吹き込み洗浄する。
また、作用する荷重は0.2kgf程度なので、深さ5mm以上あれば十分だろう
洗浄液は、自動車のブレーキ洗浄剤が便利だ。
仮に内部に残ったとしても、真空引きで完全に乾燥する。


以下、後日追加予定






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