ペルチェのDATA    

ペルチェのデータシートは最大吸熱60W、排熱側50℃のものしか公開されてなく、 CPU冷却にペルチェを使う場合は手探り状態であった。
CPU冷却によく使われる最大吸熱80Wのサーモモジュールについて、排熱側温度 50℃、25℃、0℃、-30℃、-50℃の5種類のデータをフェローテック社から提供頂き、わかり易いようにまとめてみた。

DT:吸熱側(低温側)と排熱側の温度差
TH:排熱側(高温側)の温度
Qc:吸熱量
Qout:排熱量(吸熱量+ペルチェ自身の発熱量)
Vin:ペルチェに通電する電圧

例題:
温度抵抗係数0.1℃/Wのヒートシンク+最大吸熱80Wのペルチェ2枚並列×13V通電し、 発熱量30WのCPUをケース内温度20℃の条件下で、どの程度まで冷却できるか試算してみよう。
1.総発熱量の概算
                   ペルチェ2枚並列だから、1枚あたりの吸熱量は30W/2=15W、 Qc=15Wは、グラフでは灰色の線で示され、右のグラフでTHを読むと約100Wであることがわかる。
これはペルチェ1枚についてであるから、2倍すると約200Wということになる。
2.排熱側温度の概算
ヒートシンクの温度抵抗係数は0.1℃/Wであるから、200Wの熱を処理すると、ケース内温度とヒートシンク(ペルチェと接する面)との概算温度差は、0.1×200=20(℃)、ケース内温度は20℃であるから、ペルチェと接するヒートシンクの概算温度(TH)=20+20=40(℃)
(厳密には、THはペルチェ素子の排熱側の温度であり、ペルチェと接するヒートシンクの温度ではない)
3.概算値の補正
TH=40℃時のQoutは、ほぼ100Wで間違いないので、上記の概算値をそのまま計算に使用する。
大きなずれがある場合には、上記の計算を繰り返し行い、THとQoutの関係が一致するTHを求める。
4.吸熱側温度を求める
左のグラフで、上記で求めたTH=40℃とQc=15W時のDTを読みとると、DT=52℃  TH=40℃なので、温度差を差し引くと、40-52=-12℃   
つまり、-12℃迄冷却できることになる。



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